第5章 鬼
コンコン。
今は十番隊の隊士だから、一応ドアをノックする。
が、中からの返事はない。
「…また研究に没頭してて気づかないのか」
中から返事がないのなんて、いつものことだから構わずドアを開ける。
ガチャッ。
「ノックも無しに勝手に開けんな」
ドアを開けてすぐ、声をかけられた。
なんだか、怒られたみたい。
「ノックならしましたよ」
「そうかよ、だが返事はしてねぇだろ」
未だ背を向けたまま言う阿近。
…カチン。
ちょっと頭に来た。
「…縛道の一、塞」
ポツリと呟く。
「っ、おいっ」
これには、流石の阿近も慌てた様子。
「人の顔ぐらい、見てから言えよ」
「おまっ…アラシ」
「久しぶりだな、元気か?」
「挨拶は良いから、さっさとこれ解け」
「…解」
「たく…何の用だ?
俺は忙しいんだがな」
「コンタクト、新しいの作って貰おうと思って」