第2章 なんか妹の様子がおかしいのだが....
「あ、いまなんで肉声?って思ったでしょ?お兄ちゃん」
「あ、ああ」
「ブレインバーストはボイスコマンドが基本なの、だからお兄ちゃんも加速するときは言わなきゃダメなんだよ?直結してたから私が無理やり連れてきたけど」
いつもの景色が青黒いモザイクに包まれた世界で美羽は天使を模したアバター姿で俺に言った。
ちなみに、アバターをデザインしたのは俺である。
ああマジ天使!
対して俺も中世風な服を着ているアバターになっているのだけれど。
「ここはねお兄ちゃん、加速世界の入口的な感じのところで《ブルーワールド》って言うんだよ、まあここからストレージを出して対戦者を選ぶんだけど、直結してるとその相手だけとしか対戦が出来なくなるんだ」
そう言い、アバターの指を空中でタップしたりさせて出てきたマッチング画面の名前を見て美羽は言った。
「へーお兄ちゃんのアバター名は【バーニング・ウォーデン】って言うんだぁ。かっこいいじゃん」
「そうなのか?というかどうやって見るんだよ?」
「あっ、ごめんごめん。お兄ちゃんの視界の端にさ新しいアイコンが増えてるでしよ?」
俺は妹の言った通り視線を動かすと確かにいくつか並んだアプリ起動アイコンの中に、燃え盛るBのマークが新規登録されていることに気付いた。
そして左手を持ち上げてそのアイコンをクリックする。
「それが《ブレインバースト》のメニュー画面だよ、自分のステータスとか戦績の閲覧、あと周囲のバーストリンカーを検索して大戦を挑むことができるんだよ。まぁ直結してるからマッチメイキング画面にも私の名前しかないけどね」
「へー...おっ!これが美羽のアバター名か...えーと【アンバー・メープル】?かな?」
「そうそう。それじゃあ私が挑むからね」
そう言って美羽が指をちょいちょいといじると俺の視界にまたもや燃え盛るアルファベットが並んだ。
【HERE COMES A NEW CHALLENGER!!】
これが対戦?
瞬間、世界が一変した。