第7章 やっと、レベル4に、なりました
昨日、あんな一件があったばかりなので疲れたのだろう、美羽は通常なら起きる時間を過ぎてもまだ寝ていた。まあ土曜だし害はないのだが。
そう考えながら俺は美羽の部屋の扉の前に立っていた。
そのまま思考する皇羽。
あのさらに5日前にあの忌々しい【ISSキット】を外したばかりなのだが美羽は結構ケロッとしていた。強がりということは勿論気づいていたのだが、美羽がわざわざ隠していることを暴きたくなかったのだ。
それが良かったことなのかは、勿論自分ではわからない。
もしかしてら気づいて欲しかったのかもしれないからだ。
俺はこれではいつまでも結論に至らない、と頭を振って美羽の部屋に突入することを決意した......。
あ、寝顔を拝むのもいいのではないか?
いやいやいやいや、起こさないと俺が飢え死にしてしまう。
そう、俺が美羽を起こそうと思い至ったのは、そして扉の前に立っていたのは腹が減ったからだった。
だって俺料理作れないし!前なんか酸化しきった黒い塊にしちまったし!
....。
突入!
「美羽ー...?起きてるかー...?」
.........。
「もう10時だぞー...?」
........スゥ...。
「ん?...やっぱねてるのか」
俺はそれを確認し美羽の枕元に向かった。
近づくにつれ、美羽の穏やかな規則正しい寝息が聞こえてくる。
そこには無垢な表情で腕にくまのぬいぐるみを抱ながら眠る美羽の姿が。
よし、視界のスクリーンショットに撮っておこう。
そのとき、美羽が「ん...むにゃ...」と言って寝返りをうち、目をこすろうとした瞬間俺に気づいた。
「おはよう美羽」
俺は美羽の頭を撫でて言った。
たいして美羽はまだ意識が覚醒しきっていないのか眠たげな目で言う。
「ぁん...お兄ちゃんおはよう...」
「ああ、美羽もう10時だぞ?」
「え...?もうそんな時間?...て、あ、本当...だ...って!?な、なななんでお兄ちゃんいるの!?」
「うん、お腹減った」
「...はあ、まったく。手間のかかるお兄ちゃんだこと」
美羽は勝手に侵入された怒りも忘れて呆れた声で言った。
「あはは」
そんな俺の笑いに釣られるように美羽は苦笑すると立ち上がってキッチンに向かった。