第7章 やっと、レベル4に、なりました
俺が階段を文字通り飛んで駆け抜けて行った先に不審者はいた。
全身黒スーツにサングラスのスキンヘッド、そして両手には2本のアーミーナイフが。
ちょうど手を振り下ろそうとしているところだった。
逃げ残った数人の女子生徒に、美羽に。
「待てええぇぇぇッ!!」
俺の突然の叫びに驚いたのだろう男が振り下ろそうとしていた手を一瞬硬直させる。いざふり降ろされんとしていた美羽も目を丸くしている。
その隙に俺は男との間合いを火事場の馬鹿力で詰める。
「なっ!?き、貴様いったい!?」
男の驚く声、スキンヘッドの男から発せられる声は予想通りか低く野太い声だった。
俺は吐き捨てるように言った。
「死ねえぇッ!」
身を低くしてからの渾身のアッパーカット。それは見事に男の顎を打ち砕き、脳震盪を起こさせる。
「...ぅ...ぐぁ...」
反動で俺はててらを踏んだがすぐに大勢を立て直しスキンヘッドの反撃に備える。
予想通りスキンヘッドは後ろに数歩ててらを踏んだのみで口端をニイと釣り上がらせて即座に横薙ぎの蹴りを入れてくる。
「ッ」
俺は身を低くしそれを回避しみぞおちを狙ってショルダータックルを繰り出す。
今度は尻餅をついて吹っ飛ぶスキンヘッド。
「貴様、私の邪魔をする気か!?」
「俺の妹に危害を加えようとしたお前に、俺は十分邪魔する理由があると思うのだが?」
スキンヘッドは俺の強固な意志を感じ取ったのだろう、舌打ちをすると懐に手を突っ込んだ。
ま、まさか...。
「小僧!楯突いたこと、後悔するぞ!」
そして懐から抜き出したのは拳銃だった。
黒光りする銃身と存在感のある輝き。
俺にはそれが、偽物には見えなかった。
「なっ!?おまっ...!?」
俺がそう言い切る前に男は引き金に指を掛けて力を込めた。
俺は命の危機を感じた。
しかし、瞬間、俺はとある言葉を無意識に言っていた。
「フィジカルバースト!」
思考のみが十倍に加速された。