第5章 帰り道
レーザーを完璧に見切りその全てをギリギリで、なお余裕を感じさせるように最小限の動きでレーザーをよけて【草原ステージ】を疾駆する。
火と水と土と風の球が俺と等間隔の距離でついてくるがもうこれどうでもいいや、【エレメンタルブレット】とか大層な名前のくせにぃ........ん?エレメンタル...?
駆けながらのその思考は次に発射されたレーザーで途切れた。
レーザーがここまでの距離まで来たのに一向に当たらないのは別に俺の回避技術が高いだけではなく相手が動揺しているからだろう。よけられたのがそんな衝撃だったのかな。
「見つけたぞッ!」
俺は視界に【ポリエチレン・アイ】を捉えた。初撃からか腹に赤いエフェクトが舞っている。対して俺は容赦なく発声。
「【グングニル】!」
俺の動向に気付いたのだろう【ポリエチレン・アイ】が言う。
「す、ストップ!こっちくるなあ!」
「そう言って攻撃しねえやつはいねえよ」
そして槍が容赦なく【ポリエチレン・アイ】の肩を貫通。
「ぐあっ!」
「...おまえオーバーすぎね?反応」
「つつつつ...こうなったら奥の手を見してやる...!」
「奥の手...?」
「【ISSモード】起動!」
「...ッ!」
ISS....モード、だと?
こいつも、なのか。
青のレギオン【レオニーズ】は結構治安が良い。
そのことから【ISSキット】の所持者も少ないだろうと踏んで俺はここでポイント収集をしていた。
事実、持っているのも数人だった。
しかし、初戦で引くとは....。
【ポリエチレン・アイ】の光沢がありながらも少々濁った白をした装甲の胸に丸くて黒い物が付く。
そして黒球に縦に亀裂が入り湿り気のある質感をした目玉がでる。
さらに同時に泥のように黒い過剰光が【ポリエチレン・アイ】の身体から溢れる。
「さあ....!続きをやろうかあ」
その声にはさっきまでの清々しい声とは打って変わって粘り気のあるものとなっていた。
俺が最初【ISSキット】保持者と戦った際は騎士を出して袋叩きにしたのが....。今回も行けっかな。