第5章 帰り道
地平線に瞬くフラッシュ。そして胸に激痛が走る。
反射的に胸に目を付ける、正確にはアイレンズをだけれど、胸には丸いダメージエフェクトがある。そこから血のようにでるエフェクトライトに俺は顔を顰めた。
最初は、リアルに戻っても悶えるぐらいの痛みだったのだがそのうち慣れた。本当に人間って慣れる生き物だよなぁ。
ちなみに最初とは美織こと【プラチナ・フオーリンフェン】にくらった体を三分割されたアレだ。
俺は3割ほど削られた体力バーを横目に見て舌打ちした後今度はライフルのレーザーが飛んでくる方角を向き立つ。
俺の周りには現在進行形でなおも無意味な火と水と土と風の球が等間隔にふよふよと浮かんでいる。ほんとに何これこの球。
3秒たった。レーザーの再装填が終わったはずだ。
「.....ッ!」
マルズフラッシュが光る。俺はイナバウアーのような感じで身体を後ろに倒れさせてそれを回避する。そして瞬時に体制を立て直す。俺のグングニルはホーミング型では無くこっちが視線で操るので敵の場所さえわかればいいのだ。
身体を捻り長槍を振りかぶる。そして発声。
「【グングニル】ッ!!」
姿勢など関係ないのだが何事も気合いだ気合い。
当たった手応え、上に表示される敵の体力バーがどっと削れる。
しかし敵影を捉えたわけではないので槍はすぐ手元に戻した。
きっとすぐに移動するはずだから同じ場所に放っても意味が無いのだ。
狐狩りってこんな感じなのかなあ、と思いながら地派手なエフェクトと共に駆ける。
「ハッ.....!」
知らずのうちに俺の口からはそんな笑いが漏れていた。