第4章 復讐の加速
俺はひとつの疑念があった。
美羽がもしかしたら【ISSキット】を持っているのでは?
というものだ。
実は【アクア・カレント】に【ISSキット】というのが広まっていると言われ独自で色々と調べたのだ。
結果、俺のいる豊島区には余り【ISSキット】が広まっていない事が判明した。しかし過疎エリアの豊島区だから良いものの他の、例えば七大レギオンの領土になればかなり沢山の【ISSキット】所持者がいたであろう。
豊島区のバーストリンカーが所持しているのを隠しているという線もあるのだが、そこはあえて考えないようにした。
それはともかく【ISSキット】、略さずに言うと【インカーネイトシステム・スタディ・キット】は着けると2つの心意技が使えるようになるようだった。そして【ISSキット】の負の心意によりリアルの人格にまで変化が及ぶという。
ただ、元気が無いだけかもしれない。
しかし、【ISSキット】の存在とその性質を知った今杞憂で済ませられるほど皇羽は腐ってはいなかった。
まあ妹のため、というの理由もあった....否、かなり占めていただろうけど。
そんなことで今、俺は真っ赤なデュエルアバター【バーニング・ウォーデン】の姿で【世紀末ステージ】に立っていた。
まだ学校のローカルネットに接続していたためギャラリーには美織こと【プラチナ・フオーリンフェン】しかいない筈だがその姿は今のところ見当たらない。
「...お兄ちゃん。なんでいきなり対戦なんかしようって言ったの?」
「美羽、お前がなんかこの頃元気が無いからな、ちょっと心配になったんだ。あと、俺らって対戦ってしたこと無かっただろ?」
「あ、あはは...心配してくれてたんだ...」
「当たり前だ、俺が今までの生きてきた中で一番一緒にいた人間は美羽だからな」
「...うん。ありがとう」
ちょっとしおらしくなっている美羽も可愛いこともなかったが俺はそれより杞憂を晴らしたかった。
「美羽、ひとつ質問していいか?」
「...え?い、いいよ」
「...美羽、お前は【ISSキット】をもっているか?」