第3章 レベル4に向けて、そしてISSキット
「うわあ.....お兄ちゃんすごい。ネガネビュラスの幹部さんに全く引けを取らずに戦ってる」
観覧席のとある一角....と言っても【湿原ステージ】なので【世紀末ステージ】のようにビルの上から見るわけにもいかないので木の枝の上や地面に皆直接立つか座っている。
「にしても凄いねぇ、葉山っちってなんか格闘技とか習ってたっけぇ?美羽ちゃん?」
「習ってると思いますよ。私に護身術を教えてくれたのはほかならないお兄ちゃんですから」
「まじでかぁ....幼なじみの私のわからない間にそんなことをやっていたとは....葉山っち、恐ろしいねぇ」
「あ、あははは...」
美羽は苦笑い気味に言った。
そしてまたとある一角。
片方の影は前に声をかけてきた【スカイ・レイカー】だった。そしてもう一人は猫科を連想させるフェイスマスクとスラリとした細い猫科の四肢をもった深い赤色の装甲を持つF型アバター【ブラッド・レパード】であった。
「魔術師さん...もしかして心意システムを使っているのかしら...」
「NP、多分そう」
「でも過剰光が出てないのよね...」
「ある程度なら出ない」
「そう、ね...それにしても貴女が興味を持つなんて珍しいんじゃないかしら?」
その言葉に口を噤む【ブラッド・レパード】。
対して【スカイ・レイカー】は微笑むだけで深く追求することはなかった。
一方対戦フィールドはというと。
「あなた、負けたことはあるの?」
「負けたこと...?そりゃああるが」
息を切らし気味に俺は言った。
なぜそのような状態かというと、美織相手にやった戦術である【グングニル】と自分の拳で死角を付き体力ゲージを削るというのが全く通用しなかったのだ。
理由は1つ、経験だ。
レベルの違いがここで裏目に出たのだ。
そして俺は【アクア・カレント】の水弾により体力ゲージがもう半分を下回っていた。
「くっ...やはり強い、か」
「いい戦いっぷりだったの。レベル2で私にここまでのダメージを与えられたのだから逆に誇るべきなの」
精根尽き、地面に槍を突き刺してへたりこんだ俺に【アクア・カレント】は手のひらに水弾を作りながら言った。
その瞬間、対戦フィールドにとある声が響いた。
「お兄ちゃぁん!負けちゃダメぇ!!」
燃料が投下された。