第3章 レベル4に向けて、そしてISSキット
俺の住む豊島区はブレインバーストでいう支配レギオンのいない過疎エリアに属する。まあ隣には荒川、台東を領土とする黄の王率いる《クリプト・コズミッス・サーカス》というのと、逆には練馬、中野周辺を領土とする赤の王が率いる《プロミネンス》があるのでそこまで過疎エリアというほどでもないのだけれど。
故に対戦相手を示すマッチングリストには最低でも5人は表記される。
まあ俺もこういうのは適当だ。そもそも誰がどんなふうに強いかわからん。
だから俺は適当に【アクア・カレント】のいうのにした。
本当に適当だ。レベルがなんか7とか8だったけど。
後から知った話だが、【アクア・カレント】というバーストリンカーは黒の王が率いる《ネガネビュラス》の幹部なのだそうだった。
「【湿原ステージ】か...」
レベル2にあがったこともありフィールドの名前ぐらいなら覚えてきている。
ちなみに美羽こと【アンバー・メープル】はもうレベル3になった。
それはさておき。
俺は視界端に表示されるカーソルを見て敵のいる方向を見定める。
しかしそこは湿原ステージ特有のジャングルのような木と湿気った土が広がるだけだ。
俺は槍を片手に臨戦態勢にし腰を落とし気配を伺う。
しばらくしてカーソルが消えた。これは敵が半径20m圏内に入った証だ。
......。
...........。
................あれ?
もう十分に近づいてきているはずだ。
何処かなとステージをキョロキョロしだしていると。
突然の背後からの衝撃、俺は10mぐらいすっ飛んだ。
「つ、つつつ....。くっ」
俺はすぐに再起動を果たし俺の背に強靭な衝撃を食らわした人影を見やる。
そこにいたのはF型のアバターだった。しかしそれ以上に驚くことがった。なんと装甲が水なのだ。
流体型装甲は頭にある足まで届くツインテールによって常に循環していて透き通っていた。
「...あんたがアクア・カレント?」
「そう、でもこの頃はこっちが申し込むばかりで乱入は、なかったから今は結構嬉しい気分なの」
「は、はあ...」
意味もなく自分の感情を言うことに意味があるのか?