第3章 レベル4に向けて、そしてISSキット
【アロエ・ピジョップ】
それが対戦者の(美羽の)名前だった。
「俺の妹に唾つけやがって!対戦が終わった瞬間乱入してやるからな!」
俺は叫んだ。周りの観覧者達が白い目を向ける。
「ちょ!?ウォーデン!何やってんのぉ!?」
言葉と同時に飛んでくる拳。
「ガっ!?」
「まったく...黙って見てないさいよ...」
「....さーせんしたぁ」
俺は地面に伏せながら答えた。
「あれ?あなたお兄ちゃんに負けたのじゃない」
「なっ!?まえてないから!」
「噛んでる噛んでる」
「はっ!?」
注意すると【アロエ・ピジョップ】は地団駄を踏んでいった。フェイスマスクが赤くなっているのはきっと羞恥のせいだろう。
「もう許さないからなっ!死ねえ!」
グーパンチが飛ぶ。
だがな【アロエ・ピジョップ】よ。俺がいつかのために美羽に護身術を教えてないと思ったか?
そんな事情知るかー!と、聞いてたら絶対言ったであろう。
まあ案の定美羽はそのパンチを片手で受け止めそのまま絡めとるように腕を這わして捻る。
「あたたたたたっ!?」
「ごめんねえ、でもまだだよ?」
そう言った瞬間、美羽は両手で【アロエ・ピジョップ】の腕を掴み、身体を180度回転させて広く知られる「一本背負投」の形へ持っていく。
「せやあ!」
アンバー・メープルの背負投が華麗に決まり。地面への落下音とエフェクトが舞い上がる。
今ので1割は削った。
「ッ〜〜!痛いじゃないの!?」
「痛いに決まってるじゃん...受身も取ってないのに」
その後二人は削る削られるを繰り返した。
「...ぜえはあ、これで決着をつけてあげるわ!【アロエジャングリア】!!」
必殺技の発言と共に半分以上あった必殺技ゲージがみるみる削られていく。
そして地面が割れ、四方八方から巨大アロエが飛び出す。
生える際に地面へのスタンプ効果もあるので足元が揺れる。
「負けないんだから...!【メープルビロウ】!!」
お、美羽にも必殺技があるのか、まあ当たり前だけど。
そして、変化が起きた。