第3章 レベル4に向けて、そしてISSキット
俺はこの声に激しく聞き覚えがある。なにせ朝にあったし同じクラスメートだ。
「み、美織?」
「ご名答ぉー」
そう言ってからのフェイントまがいの回し蹴りが俺の腹部にヒットする。
「痛っ」
ブレインバーストは違法パッチに負けず劣らずなほど痛覚をダイレクトにしており普通に痛い。
もし切断などされてみようなら加速し終わったあとも悶えると思う。
美織は自分をレベル4だと言っていた、俺は勿論昨日始めたばっかなのでレベル1のニュービーだ。
なので防御力の低い俺の体力ゲージは半分まで削られた。
しかし体力ゲージが減る、と言うことは必殺技ゲージが貯まると同義だ。そしてゲージが満タンな今、俺の【グングニル】は発動している間は常にゲージを消費するので1分はずっと飛ばしてられるだろう。
俺は近接ではどう見ても初心者の俺に部が悪いのでバックステップで後に距離をとる。
そして言う。
「【グングニル】!!」
本当は投槍のフォームなど必要はないのだがそれをして投げる。閃光と共に空を割いて【プラチナ・フオーリンフェン】に肉薄。
しかしギリギリのところで美織は避ける。
しかしまだだ。俺は駆け出し近接に持ち込む、遠距離の攻撃がこれしかない俺にはそれしかある意味選択が無いのだった。
槍が美織の肩の装甲を削り【プラチナ・フオーリンフェン】の体力ゲージが一ドットほど削れる。
レベルの差は体力ゲージの絶対量に比例するのである意味当たり前だが。
俺が正面で拳を振るうと死角から槍が飛び、またその逆でダメージを与えていく。しかしタイムリミットもあるので30分の内ついにあと5分までになった。
俺の体力ゲージは既に1割を切って赤く点滅してる、対して美織の操る【プラチナ・フオーリンフェン】はまだ2割ちょいも残っていた。
とっくに俺の必殺技の効果は解け、槍術のみで俺は戦い続けていた。
美織は何故か必殺技ゲージが既に満タンなのに使わないし。
「....あと5分だな」
「そうだねぇ葉山っち。じゃあ決めさしてもらうっね」
「え」
「いっくよー必殺、【カマイタチノランブ】!」
は!?それ日本語じゃん!?....え?もしかしてローマ字?
しかし俺がそう考えた瞬間、高速で振られた鉄扇から二つのカマイタチ、要するに風の刃が飛び俺の身体を容赦なしに切断した。