第2章 なんか妹の様子がおかしいのだが....
「そこにいたかっ!あっかいの!」
暗雲の立ち込める【世紀末ステージ】にそんな澄んだ声が響いた。
俺は視界の上に表示されているバーの端にあるアバター名をちらっと見てから。
「えーと..?【アロエ・ピジョップ】さん?なんで対戦を?」
「そんなの決まってるでしょっ!【バーニング・ウォーデン】!ポイントのため....ではなくストレス発散ね!」
「えー....とりあえず必殺技は上の青いバーがたまらないとダメんなんだろうし...槍で肉弾戦か」
一度そう自分の中で決めると自然とスイッチが切り替わり思考が冴えてくる。
多分フルダイブ型の格闘ゲームなんだから学校とかのローカルネットにフルダイブしてる時と似たような感じだろうな...。
にしても今時格闘ゲームとは....古いなぁ。
おっといけない、攻撃攻撃っとぉ。
俺は駆け出した、どうやらアバターの身体能力は現実より強固でリアルではありえないスピードで走る。
「え!?あんた遠隔型の赤でしょ!?なんで近づくのよ!?」
「そんなの知るか、格ゲーだろこれ?それに槍持ってンだから」
俺は返答と共に長槍を振るF型の【アロエ・ピジョップ】はピジョップと言う単語がつくこともあり僧正のような布状装甲装飾を1つ切り飛ばした。
それと同時に必殺技ゲージが一割ほど貯まる。
「へぇ、攻撃するとゲージが貯まるのか」
「し、しらなかったの!?」
「いやだってインストールしたの昨日だし。じゃあ再開ね、戦闘」
振り切っていた槍の柄頭で【アロエ・ピジョップ】の胴を突く。
「ちょっ!?痛いじゃないの!?」
「いや、だって格ゲーだし。とゆうか痛覚あるんだな」
「あたりまえ、よッ!」
いきなりの正拳突き、流石にたじろいだ。本当に痛覚あるんだな。
見事の正拳突きは俺の体力ゲージを2割も削った。俺って防御力低いなぁ。
「くっ!俺は女だからって容赦しねえからな!なぜなら俺の女は俺の妹だけだからだ!」
「キモっ!シスコンかっ!」
それを聞かずに俺は槍を切り返し袈裟懸けに【アロエ・ピジョップ】の緑の装甲に傷を入れる。
反動を利用し身体を回転させ唐竹に槍を振り、そこから体を後ろに引き絞り突きの体勢をとり、放つ。
青型顔負けの近接技に観覧者達がどよめく声が俺の耳に届いた。