第2章 なんか妹の様子がおかしいのだが....
俺は朝日と共に目覚めた。その覚醒度は起きたばかりにしては明瞭でかなり頭が冴えている。
「.....ぅお、な、なんだったんだ....あれ?」
悪夢のことは覚えている。しかしそのあとは.....なんだっけなあ、なんか魔法使いとかそんな感じの話を....て、あれ?俺って誰かと話してたっけ?
自室のベットからムクリと起き上がる。
「はぁ、結構早く起きちまったな....あ、そだ、美羽の寝顔でもみにこっと....グフフフ」
途中から若干早口になり最後には邪な笑みを浮かべる皇羽だった。
「美羽美羽はっとぉ」
そう口走りながら忍び足で暗い廊下を歩き美羽の部屋に向かう。
そしてドアノブに手をかけた瞬間「バシイイイッ!!」という音が俺の耳に響いた。
「え?」
そんな俺の間抜けな声が廊下に響いたかは確かではない。
俺この音聞いたことあるなあ....あ!あれだ美羽が直結して「バーストリンク」って言った時に加速と同時に響いた.....。
....え?じゃあ今加速してんの俺?
加速音が響くコンマ数秒の中そんなことを考える皇羽だった。
周りの景色が一変し、眼前に拡がった次の景色は暗い荒廃したビルの建ち並ぶまるで北斗の拳に出てくる世紀末の光景だった。
これが加速してるっつーことは俺は今ブレインバーストの作ったアバター姿なんだよな....。
「おお真っ赤!しかも何だこの三角帽子とマントは!?あ、でもこの槍はかっこいいな。うん。」
俺は三角帽子とマント、そして長槍を携え中世の騎士の鎧を連想できる燃えるように輝く真っ赤な装甲をもったM型にしては小柄なアバター姿になっていた。
「お兄ちゃん!?なに加速してるの!?」
「あれ?美羽?」
「そうよ...って、その様子じゃ乱入されたみたいね...」
「いや、どうしてお前が?」
「観覧登録してたの、それよりステータスのとこ開いて!そこで必殺技を確認してね!あと上のが体力と必殺技バーで真ん中が残り時間、相手が20m内に近づくと私は強制転移させられちゃうから頑張ってね!あとお兄ちゃんの前に出てるカーソルが相手の方向示してるか.....」
早口でまくし立てられるその言葉を美羽こと【アンバー・メープル】は言い切る前にいきなり姿を消した。
同時に誰かの声が響いた。