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君がいた夏

第1章 遠く離れたって…【虹村修造】



「ナナ、おめぇの事、好きだ。幼なじみじゃなくて、女としてな」






「…ほんと?」

「ああ。マジだぜ」

震える声で聞き返すナナに俺は自分でも耳を疑うくらいの甘い声が出る。



そして次の瞬間、ナナも俺を抱きしめ返してくれた。





「…あたしも、ずっとずっとシュウの事が大好きだった。皆怖がって、近づかないけど、本当は優しくて面倒見がいい家族思いのシュウが大好きなの…!」


ナナの言葉が嬉しくて堪らなくて脳天と心臓にばんばん刺激が来るのを感じた。
そして震える声で精一杯伝えるナナが可愛すぎる。




「…俺はお前がいてくれればそれでいいんだよ。他の女に興味はねぇんだ」

「…もう、シュウったら。ねぇ、向こう行ってもいっぱいメールしていい?」


俺はナナの顔を見たくて、一旦ハグを解くと、ナナの頬には涙が伝っているのが花火のおかげでなんとなくわかった。
俺は愛しくてたまらなくて、微笑みを向ける。





「…んなの、いいに決まってんだろ。むしろ、俺から連絡すんよ。てか、それより先に言いたかった事あんだけど?」

「何?」


その顔、マジでたまんねー。


涙で潤っている目で俺を上目遣いで見るナナの両頬に手を添えて顔を近づける。






「…俺と付き合ってくんね?」


少しの間ナナは目が点になるほど驚いていた。多分信じられないって言った感じだろ。


でもすぐに顔がくしゃくしゃになり眩しい笑顔を向けてくれた。


「…はい」



その一言を聞いただけで俺の心は最高潮にヒートアップし、どっちかというと言葉よりも先に行動するタイプだから自然と顔を近づける。



ナナは俺が顔を近づけても拒否することなく、静かに目を閉じる。





まだ花火が打ち上げられてる中で、俺たちはとうとうお互いの唇が触れ合い、初めてのキスをした。






それは世間でよく言われるレモンのように甘酸っぱい味がした。


fin.
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