第42章 第41セット
*及川side*
優と岩ちゃんが付き合った。
何となくだけど、分かってた。
優はずっと岩ちゃんのことを考えて行動してた。
柴崎ちゃんを引っ叩いた時も
部活を辞めた時も。
分かってたはずなのに
覚悟は出来てたはずなのに
息が出来なくなりそうなほど胸が締め付けられる。
俺は今ちゃんと笑えてる?
「徹、私を好きになってくれて、ありがとう。」
優の口から出たのがごめんねじゃ無くて良かった。
ねえ、優。
「幸せになんなかったら奪ってあげるから覚悟しなよ。」
きっと俺はお前以外を好きになんかなれない。
何年片想いしてきてると思ってるんだ。
わしゃわしゃと頭を撫で無理矢理俺の部屋から優を出した。
あいつの事だからきっと察してくれるだろう。
部屋の扉に寄りかかりズルズルと座った。
一番大切な親友と一番好きな子が幸せなら嬉しいよ。
ただ、優を幸せにするのが俺であったなら良かったのに
12年分の彼女への想いを涙と共に流した。