第28章 第27セット
*影山side*
いつもそうだ。
優さんは
どんなにツラくても、
どんなに泣きそうでも、
どんなにココロが痛くても、
笑って、みんなを安心させようとする。
周りが不安なとき、苦しい時は
その笑顔に力がもらえる。
けど今は、、、
俺のココロが
すごく苦しい。
「優さん。
今でも、岩泉さんのこと、好きですか?」
すると、また困ったように笑って
《わからない。》
そう答えた。
優さんにこんな顔をさせられる岩泉さんが
羨ましくて、腹立たしくて、仕方が無かった。
俺だって、ずっと好きだったのに____
俺がこの人を好きになったのは、中学1年の頃。
北一のバレー部に入部して少ししてから。
きっかけは部活終わりの自主練。
サーブの練習をしていたら及川さんたちのところに
“空中の舞姫”と謳われた優さんが来たからだった。
優「おー!君が影山くんか!
徹から色々聞いてるよ!」
そう話しかけてくれた優さん。
自主練を見ていても、あの及川さんのサーブを難なく上げていて、スパイクも見惚れるほど綺麗で、太陽のように笑うあの人は俺の憧れになった。