第23章 第22セット
*松川side*
今日は優の笑顔がおかしい。
例えるなら、及川みたいな笑顔。
お面つけてるみてーな。
そしてあいつが笑ってるのが気に食わないのかクソ野郎どもの悪口がいつもより多い。
それでもあいつは笑顔の仮面を辞めなかった。
気づけば優は体育館にいなくて、マネの春川(春ちゃん)に聞くと、データ入力に行ったと言われた。
けど直感的に嘘だと感じた。
春川の言ってることは嘘じゃないけど、優の言ったことは嘘。
休憩に入ってすぐ、あの場所へ向かった。
体育館裏。やっぱりいた。
気の長い(自称)俺でも限界。
「俺、そろそろ怒るよ?」
そう声をかけると驚いたように顔を上げ、俺を見た。
つらそうに顔を歪め、ジッと見つめてくる。
少しずつ近づきながら優に尋ねる。
「おれ、そんなに頼りない?」
弱々しく首を振る。
「おれには話せない?」
また首を振る。
「おれのこと、嫌い?」
さっきより大きく首を振る。
優のすぐ傍に来て地面に膝を突き、俯く優をそっと抱きしめ、最後の質問をする。
「俺じゃ、岩泉の代わりになんない?」