第21章 第20セット
*岩泉side*
及川が監督のところへ向かった後、奏を連れて叩かれた頬を冷やすために医務室に来ていた。
アイシングを作り、叩かれた頬に当てる。
「まだ痛むか?」
柴「ううん。もうそこまで痛くないよ。
ごめんね?心配かけて、、、。」
「気にすんな。お前の彼氏なんだ。
当たり前だろ。」
柴「ありがとう。はじめ君!
大好きっ!」
「俺もだ。」
違う。
“何か”違う。
奏に好きだと言われるたび、“何か”が違うと感じる。
こいつに好きだと言われても満たされない。
なんでだ。
いや、このことは考えないほうがいい。
考えちゃダメだ。
「そーいや、ほんとに何もなかったのか?」
柴「、、、うん。はじめ君のこと話してたら急に叩かれて、、、。」
「そうか、、、」
柴「多分、私が無神経なこと言っちゃったんだよ。
優ちゃん、まだはじめ君のこと好きみたいだし、、、
きっと、嫉妬させちゃったんだと思う。」
「、、、、、。」
ガラッ!
及「いーわちゃん。ちょっといーい?」
「及川、、、」
及「柴崎ちゃーん、ちょーっと彼氏君借りるねぇ?
あ、君はここで岩ちゃんの代わりに柴崎ちゃん看ててくれる?」
部「あ、はい!」
及「じゃ、いこっか!」
そう言った及川(コイツ)の顔は俺の大ッキライな貼り付け笑顔だった。