第20章 第19セット
*松川side*
花と練習の事を話しながら歩いていると、急に花が黙り込んだ。
「どーした、花。」
花「松はさぁ、優のこと本気なんだよな?」
「いきなりだな」
花「質問に答えろよ、松」
「本気だぜ?初恋ってやつ」シシッ
そう笑うと花が「俺はさ、、、」と優の事を好きになったきっかけを話した。
ありがちだなとか思ったけど口には出さない。
そして話し終わったあと「松は?なんで好きになったの?」と聞かれた。
「あー、俺?俺は、、、」
てかこれ、話すなら俺の恥ずかしい過去話さなきゃじゃん。
「話さなきゃダメか?」
花「俺話したんだから言えよー」
「んー、まぁ花だからいいか。
あれはなー俺が1年の時だったんだよ。確か」
そう、あれは1年の後半、3年の最後の大会である春高予選で白鳥沢に負け、新体制に切り替えてから少し経った頃。
俺は身長が今ほどはなかった。
バネもなかった。
スピードもテクニックも頭脳もそこそこ。
あるのはパワーとスタミナ。
正直、悩んでいた。
どうすれば上手くなるのかな、と。
試合に出たい。点を決めたい。活躍したい。
けど、俺に武器と呼べるものがない。
バレー部のやつに相談してもいいけどあくまでライバル。
弱いところを見せたくないと言うプライドと
落ち着いてて大人っぽいと言う周りからのイメージばかりを気にして、不安と焦りは募るばかりだった。