第14章 第13セット
「白鳥沢学園中等部1年 牛島若利です。ポジションはWSです。」
彼のことはクラブの時に見かけたことがあったので知っていた。
同じ学年の人がいなかったので、彼を見つけてとても嬉しかった。
自己紹介が済んだあと、私は一目散に彼に駆け寄り、
「あなたも中学1年なんだよね?私もなんだ!北川第一の高崎優っていうの!優って呼んで!」
と、いきなりのマシンガントークで彼をポカンとさせてしまった。
「あ、ごめんね?同学年の人いて嬉しくて、つい、、、」
ショボンとしたら
「別に構わない。俺も同学年がいて安心した」
と言ってくれた。
「っ!!ありがとう!えーっと、なんて呼んだらいい?」
「好きに呼んだらいい。」
「じゃあ、若くんで!よろしくね、若くん!」
「あぁ。よろしく」
『よーし!じゃあ早速始めんぞー!』
「はいっ!!」
私達の監督は珍しくて、男女一緒に練習させた。
監督曰く、
《男のスパイクやサーブがとれれば女のなんか余裕だっ!》という事らしい。
まぁその通りだけど。
もっと細かく言えば、女子は男子のパワーに慣れる。
男子は女子の繊細なプレーを学ぶって事らしい。
ネットを使う練習の時は男子の高さに合わせていたので、最初は大変だった。
慣れない環境に自分より年上の人たちがいる中での激しい練習。
キツかったけど学ぶものも多かった。