第14章 第13セット
ー過去ー*優side*
ここで少し昔の話をしよう。
と言っても私の幼い頃からの話。
私には友達がたくさんいた。
男の子も女の子もいっぱい。
その中でも特に仲が良かったのは、徹と一。
生まれた頃から一緒だった。
何をするにも一緒で、どこに行くにも一緒だった。
お母さんには「とおるくんとはじめくんどっちが好き?」なんて聞かれて
私は「二人とも好き!」なんて答えるほど、二人が大好きだった。
それは歳を重ねても変わらなかった。
バレーを始めたのも3人一緒だった。
けど、バレーは私のほうが先に上達し、ジャンプサーブを徹に教えたのも私だ。
みんなでバレー部に入り、絶対に全国へ行こうと約束し、中学に入学した。
北川第一は男子バレーは強かったが女子はそこまでではなかった。
経験者で他の選手よりずば抜けていた私は、すぐにスタメンになった。
大会でも他校の誰も寄せ付けないほどの輝きを放ち、相手を圧倒した。
それでも一人でどうにかなるわけではなく、1年の大会ではベスト4で幕を閉じた。
そして私は1年生にして女子のベストアタッカーに選ばれた。
異例の出来事として大きく取り扱われ、
1年生の始めにして県選抜に選ばれた。
そこで同じく1年生にして県選抜に選ばれた“牛島若利”と出会った。