第12章 第11セット
*優side*
みんなの元に戻り、しばらく経った頃
私は、控え所にいなかった一を探して外に来ていた。
しばらく探しているとTシャツのまま下を向いて座る一がいた。
私は持っていた一のジャージをそっと肩にかけ、隣りに座った。
その時初めて私が来たことに気づいたようで、視線を少し私に向けまた下を向いた。
一は大会で負けた時はいつもこうしていた。
クラブの時も中学の時も、そして高校でも。
今回もそうだった。
いつも負けたときは一人で自分を責めて背負い込む。
そのたびに私は、今日みたいに一のジャージを持って探しに行って、
「次はもっと強くなって勝とう」
って言ってた。
けど今はそれが言えない。
私の声が出ないから。