第9章 第8セット
*優side*
徹がタイムアウトを取るようにサインを送る直前、
私も気づいた。
変人速攻と普通の速攻の使い分け方に。
ピーッ
タイムアウトになって、選手たちが戻ってくる。
及「優も気づいたよね?」
コクッと頷く。
及「録画したやつだと音声がちょっと解り辛くて、確信持てなかったんですけど、多分、間違ってないと思います。」
私も昨日たくさん見たからわかった。
及「“来い”と“くれ”です。合ってるよね?優」
また頷く。これは確かだ。
岩「“来い”と“くれ”?」
及「最初はさ、チビちゃんは『何か叫びながら突っ込んで行くな〜、頭悪そうだな〜』くらいに思ってたんだけど、“神業速攻”の時は『持って来い』とか『俺に来い』とか“来い”って単語が入ってるっぽい。
ーーーで、普通の速攻の時は『トスくれ』とか『俺にくれ』とか」
岩「“くれ”って単語か」
神業速攻の時、日向くんはボールを見ないで打つみたいだけど、
さっき“くれ”の時は普通にボールを目で追いながら跳んでたから、それでほぼ確信。
及「でもね、チビちゃんの武器は“囮”。彼にばかり目が行けば、それこそ向こうの思う壺。
だから、簡単な決まり事だけ作っちゃおう。“来い”の時はチビちゃんのマークは一人だけにしよう。
“くれ”の時はトスがどこに上がるか見てから跳ぼう。オーケー?」
『オス!』
花「ーつっても、あの10番次サーブで後衛だけどな」
及「わ、分かってるし!知ってたし!」
けどいいのかな。こんなタイミングでタイムとって、、、