第2章 舞風
今日君に僕の想いを告げた時、本当は不安で仕方無かったんだ。
ふざけていたように見えたかもしれないけど…。
まあ、君に断られたら冗談にして逃げ切ろうっていう狡い考えもあったんだけどね。
だって君は一君の事を好きなんだろうと思っていたからさ。
僕にはいつも素っ気無いくせに、一君にはとびきりの笑顔を見せる。
そんな一君が羨ましくて、嫉妬して………。
今だから白状するけど、一君に何度か嫌がらせをした事もあるんだよ。
草履を隠したり、捕まえてきた蛙を布団に入れておいたり…。
その度に一君は「総司、童子のような真似をするな。」って静かに怒ってたけど。
………あれ、どうして僕の仕業だってばれてたのかな?
でも有希ちゃんは僕の想いを受け止めてくれた。
本当に本当に幸せだよ。
僕なんかいつ死んでも構わないって思ってたけど、今は君を残して絶対に死ねない。………死にたくない。
これまで散々人を斬ってきた僕が言うなんて図々しいと思うけど、でも本当に君と離れたくないんだ。
ねえ、有希ちゃん。
有希ちゃんは僕だけのものだよね……。