第4章 闇の彼方まで
「…………ちっ」
微かな舌打ちが聞こえ、いきなり彼が私の鼻を摘まみ上げた。
「……………っは」
何の前触れも無く突然呼吸を絶たれた私は、空気を求めて口を開けてしまう。
そしてその隙を逃さず、牡茎が一気に口の中に差し込まれた。
「かっ………は」
太く硬いそれに喉の奥まで突かれ吐瀉感が沸き上がり、息苦しさと嫌悪感に涙が溢れる。
何とか吐き出そうと首を小刻みに振ってみたり、舌で押し出そうとしてみるものの、それらの行為は逆に彼の快感を増幅させるだけだった。
「は……あ……」
彼は目を閉じて天を仰ぎ、私の頭を両手で掴んで固定すると、ゆるゆると腰を動かし始めた。
「ん………ぐぅっ………んぐ………ん……」
彼の腰の動きに合わせて、私の口からは嗚咽が漏れ続けていたが、それすらも彼の感情を昂らせ、腰の動きがどんどん早く細かくなっていった。
口の中の牡茎がまた一段膨らみ、ぴくぴくと痙攣を繰り返す。
「ごめっ………も………出るっ……」
彼が切な気に小さく叫んだと同時に……口の中に生暖かいものが放出された。
一度だけでなく、少しづつ、何度も、全てを絞り出すように…私の口の中が汚されていく。
「……くっ…………はあ…あ………」
彼の腰の動きがぴたりと止まりぶるりと一度身を震わせると、牡茎が口の中からずるりと抜き出されたが、たった今放出したにも関わらず彼のそれはまだ大きく反り返っていた。
その途端に、私は猛烈な勢いで噎せてしまう。
何度も何度も咳き込んで、その度に口の端からどろどろと白濁したものが溢れ出し、私の頬を伝って畳に染みを作っていった。
それでも尚……自分の唾液すら出なくなっても、私は口の中に残る彼の残骸全てを吐き出そうと必死だった。
「気持ち悪いよな……ごめん。」
彼はそう言いながら、親指で私の頬の汚れを擦り取った。
「……触らないでっ!!」
自分でも分からないまま私は声を荒げ、涙が滲む目で彼を睨み付ける。
抵抗するのを諦めたはずなのに、この人を刺激するのは駄目だと分かっていたのに……私には考えもつかなかった方法で汚されてしまった自分が悔しくて、つい口を出た言葉だったと思う。
すぐにそれを後悔したのだけれど…………遅かった。