第3章 4月の風が止む頃
結局、あの後ぼろぼろ泣いた私は恥ずかしくも彼の膝で寝てしまっていた。
今の時刻は午前2時。
彼の膝に頭を預けたまま、飛びつつある意識を頼りに話していた。
「お恥ずかしい所を見せてしまってすみませんでした…」
「いえ、泣くのはストレスの発散にいいですし、我慢なさらないでください」
「貴方は本当に強い方ですね。」
きょとん、と私を見返す彼は間をおくと軽く吹き出した。
くすくすと笑う姿にどうしてか気を奪われる。
「私は貴方のこと、私より何倍も気の遣える良い方だ、と思っていました。同じ人物なのになんだかおかしいですね
さぁ、こんな時間です。布団に入って寝てしまいましょう?」
「そう、ですね」
今日の日付は4月30日。
貴方と逢えたのは4月の1日。
あと1日で1か月ですね。