第1章 4月の風が吹く頃
十年、何百年も昔に建てられた日本家屋。 長い縁側がら見える広い庭園は今の時期見ごろの儚くも凜と咲く花々、コイが優雅に泳ぐ池、そして何より大きな枝垂桜が見渡せます。とても綺麗でしょう?
私が手入れしている自慢の庭園なのです。
風に揺られて少しづつ散っていく桜の花びらはとても風流で、見惚れている間に時間は刻々と過ぎてゆきます。
1人で過ごす時間より、2人で過ごす時間はもっと早くて良いものなのに。
貴方の姿は私の中にしか存在しない。
私の中に住むもう一人の私は、私の最高の友人。
姿は見えませんが。
同じ髪、同じ瞳、同じ声。すべて私とそっくりな貴方。
「会いたいです」