第7章 帰還
エルヴィンから帰還命令が出た後、全員が馬を全速力で走らせ壁へと向かった。
道中、度々巨人が現れたが幸い奇行種が現れなかった為負傷者は最低限に抑えられたが、負傷した兵士の数は多かった。
荷車の上で負傷者の看病をしながらコルネリアは平常心を保つのに必死だった。
ハンジの薬で亡くなった兵士の手紙を胸ポケットに入れ、手当てに集中する。
壁内に到着すると出発前とは全然違う、住民達の反応に驚いたが仕方が無いと思えた。
兵舎に戻り重傷者を医務室に運び手当てを全力で行ったが、それでも死者が出る事に胸が痛む。
ある程度落ち着いた所でコルネリアはエルヴィンの執務室へと向かった。
「失礼します」
声をかけると返事があり、入るとエルヴィンの机の上にある山ほどの書類に驚きながら新しい死亡者リストを渡した。
「団長、1つお願いがあります」
「何だい?」
優しい声で返事をするエルヴィンに胸ポケットに入れていた手紙を渡した。
「壁外でハンジさんが手を出した兵士が家族へ書いた手紙です。
亡くなる直前に家族に渡して欲しいと言われたのですが、どうすれば良いでしょうか」
「君が届けてあげたほうが良いだろう。
そうすればその兵士もきっと喜ぶに違いない」
笑顔を見せながら答える目の前の人物を見つけたままコルネリアは更に話を続けた。
「そうかも知れませんが…
生憎、家族が住んでいる家を知りません…」
すると少し間を開けてエルヴィンは答えた。
「この兵士の家族が住んでいる家はリヴァイが知っているだろう。
だが今は幹部達は死亡した兵士達の家を訪ねている。
リヴァイが戻って来たら案内するように伝えておくよ」
「有難うございます」
そう言ってコルネリアは敬礼をして執務室を出た。
前もって聞いてはいたが壁外から帰ってきた後は幹部達が死亡した兵士の家を訪問するようになっている。
その最中であるなら今は下手に兵舎を出る事は良く無い。
コルネリアはリヴァイが帰って来るまで医務室に居る事にした。
医務室に戻ると壁外で手伝ってくれた兵士3人が手当てをしている最中だった。
「コルネリア、戻ったか。
この兵士なんだが、どう手当てをしたら良いのか分からなくて困っていた」
そう言われてベッドに横になって痛がっている兵士を見て冷静に治療方法を考える。