第5章 壁外前
準備が一段落したところでエルヴィンの執務室へと向かった。
壁外調査までもうすぐである為、それについての事だろう。
執務室まで着くとドアのノックし部屋へと入った。
「失礼します」
「コルネリア、ちょうど良かった。
少し話したい事がある」
いつもの爽やかな笑顔で見てくるエルヴィンに対して、隣に眉間を皺を寄せているリヴァイが立っていた。
「話とは何でしょうか?」
そう尋ねると一気に厳しい表情へと変化した。
「1つ聞きたい事があったんだが、今リヴァイから聞いた話について少し聞きたい。
君の手伝いをする兵士についてなんだが、君に対して何かしたのかい?」
それを聞いて先程の事であるのを察知してコルネリアは答えた。
「はい。
胸ぐらを掴まれたので手を出してしまいました…」
「3人共にかい?」
「はい」
壁外調査前の揉め事は良くない事は分かっているが、あのままでは確実に殴られていた。
「実はさっきその3人が来て、医療班の手伝いを降りると言ってきたんだ」
「…そうですか」
エルヴィンの言葉に驚く事なく表情を変えずに答えると、今度はリヴァイが口を開いた。
「あの状況だと確実にこいつは殴られていただろう。
正当防衛と捉えて構わない」
「分かっている。
しかし、大事な時期にこの騒ぎが起こってしまった事に問題がある」
真剣な目で答えるエルヴィンは少し考え込む仕草をした。
「コルネリア、君自身はあの3人と協力して医療班を務める事が出来るかい?」
その質問に対して戸惑ったが答えは1つしか無い。
「もう既に決定された事ですので、どうにかします」
「もし3人が拒否をしたらどうするつもりだ?」
「私が全責任を持ち、全ての負傷者の治療を行います」
そう答えるとリヴァイはため息をついた。
「壁外調査前はどうしても兵団自体が緊張状態になる。
特に、壁外に出てからはもっと大変になるがそれでも全責任を持つと言うのか?」
「私は新兵と言えど医療班の班長です。
全責任を持つのは当然だと考えています」
「コルネリア、君の言いたい事は分かる。
だが、手伝いに指名した3人が拒否するとなると、全て君自身が治療に従事するしなければならない。
もう作戦の変更は出来ない」
エルヴィンの言葉は正直重かったが迷う事なく答えた。
「やってみせます」