第2章 1人だけ
そして講義の準備の為に何人もが座れる机が並べられた部屋へとリヴァイに案内された。
「お前…これ徹夜で全部書いたのか?」
資料の束を運ぶ彼は眉間に皺を寄せて聞いてくる。
「はい。
団長が今日の夕方には講義をして欲しいと言ったので徹夜で書きました」
それを聞いたリヴァイは少し目を見開きながら持っている資料の束を見た。
「これを…1人でか?」
「はい」
コルネリアは何事も無かったかのように返事をすると横を歩くリヴァイは何も答えなかった。
講義の準備をする為に資料を1つ1つ机に置いて行く彼に背中を向けて人体の構造を書いた大きな紙を1番前の壁に貼る。
「あいつもあいつだな」
突然ぼやいたリヴァイを見ると既に資料は全て置かれてコルネリアの方を見ていた。
意味が分からずにポカンとしているとリヴァイは傍に来て優しく抱き締めてきた。
「今日はお前の講義がどんな物なのかを見る為に来た」
その言葉に対して嬉しく感じると共に抱き締められている事で顔が赤くなるのが自分でも分かる。
「いくら上官の命令だとしても無理はするな」
リヴァイが放つ言葉は優しく、それだけで心が満たされていく。
そしてコルネリアは1つ質問をした。
「向こうの兵舎は大丈夫ですか?」
「お前は心配しなくて良い。
昨日の晩、ハンジがいきなり来てエレンは朝まで巨人の話を聞かされてぐったり状態だ」
それを聞いて思わず笑うとリヴァイは離れた。
「もうすぐその例の奴が来るな」
「えっ…?」
するとリヴァイが言った通りハンジが部屋に入ってきた。
「お!
もう準備は万端みたいだね」
そう言いながら2人の元に来てリヴァイに話しかけた。
「リヴァイはコルネリアの講義がどんな物なのか聞く為に来たんでしょ?」
「それ以外に何がある」
ハンジはリヴァイの返事を気にする事なく今度はコルネリアの方へと向いた。
「もう皆を呼んでも大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ」
ハンジは兵士達を呼びに部屋を出るとリヴァイはため息をつく。
「新兵の講義なんざ聞く奴はいるのか?」
「きっと団長命令が出てますよ」
微笑みながら答えるとリヴァイは再びコルネリアを抱き締め、そして唇にキスをする。
「何か相談があるなら、俺がここに居る時は俺に言え」
リヴァイは優しく微笑みながら言った。