第2章 1人だけ
リヴァイ班を見送った後コルネリアは1人で幹部塔へと向かった。
他の兵士達はそれぞれ居住塔に戻る中1人で幹部塔に向かうのに少し空しさを感じる。
部屋に着くとハンジから渡された鍵でドアを開けパタンと閉めた。
普通なら今頃相部屋の仲間と雑談をしている筈だが、1人部屋のこの空間が寂しい。
「そういえば…」
コルネリアは思い出したかの様に部屋の間取りを見て回る。
この部屋に来てからハンジやリヴァイに時間を取られていた為構造を把握していなかった。
浴室の方へ行くと簡易な脱衣所があり、その奥に浴室があった。
机は部屋に入ると目の前にあり、ベッドは奥の隅にある。
そしてその横にソファーがあった。
一通り見て回ると本棚から医学書を取り出し机に座る。
さすが幹部塔。
椅子は簡素な物だったがとても座り心地が良い。
そしてそのまま医学書を開き読み始めようとした時ドアがノックされた。
コルネリアは返事をするとまたもやハンジが登場した。
「エレンの様子はどうだった?」
明るく話しかけてくる上官に嬉しさが込み上げる。
「凄く元気そうで安心しました」
笑顔で答えるとハンジも納得した様だった。
「とりあえずここに慣れるまでは私が指示するけど、明日からは訓練以外の業務時間は医務室に居てね。
特に新兵が訓練したら1人や2人は怪我するからさ」
その言葉に唖然とする。
「新兵ですが3年間訓練はしていますよ?」
「さすがに壁外に出たら巨人と交戦する事が多いから、訓練兵時代と違ってここの訓練は少し厳しいんだよね。
だから怪我人がどうしても出る」
そう言うとハンジはコルネリアが座っている机の前まで来て、また目をぎらつかせた。
「で、リヴァイの事をどう思ってる?」
突拍子も無い事を聞かれ戸惑ったが言葉を探しながら答える。
「調査兵団を選んだ理由でもあるんですが…
憧れの人ですね」
「それだけ?」
きょとんとしたコルネリアを見てハンジはリヴァイ以上にどんどん質問を投げつけてきた。
「憧れの人と話してどう感じた?
ドキッとした?
やっぱ怖かった?
もしかして更に惚れた?」
「は…ハンジ分隊長…そんなに一気に言われたら…」
「困ってしまうよ」
第三者の声が聞こえ部屋の入口を見るとエルヴィンが立っていた。
「少し失礼して良いかな?」