第7章 旅行編
「温泉の匂いがするぞ!俺この匂い好き!」
温泉のマークが書いてある暖簾を潜り木製の扉を開けるとふわっと温泉の独特の匂いが鼻を掠めた。
心地よい気分になりいつもより多く空気を体内に入れた。
「俺もこの匂い好き!なんか落ち着くよね」
「あぁ、それは俺も同感だ」
周りを見渡すとちょうと服を入れるカゴの空きがあったため俺たちは其処まで移動をし、シュルッと帯を外し浴衣も脱ぎカゴに軽く畳み、入れる。
「浴衣ってすぐに脱げるから楽だよね」
「そうだね!」
「浴衣って脱ぎやすい反面崩れやすいからなんかエロいよな」
「またそーいうこと言う!…まぁ、一理あるけど」
確かに浴衣ってなんかセクシーというか何というか…。
浴衣で来てよかったかも、荷物も少ないし直ぐに脱げるし。
「2人とも終わった?よし!じゃ、行こ!」
ウキウキしながら扉に手を掛ける。結構重みのある扉をゆっくりと開けたーーーー
「あぁーーー……幸せ」
「気持ちいいんだぞ……」
「だな…」
あぁ…気持ち良すぎて蕩けそう…疲れが一気に飛んでいった。
目を開けると幸せそうな顔をして湯船に浸かっている2人が映る。やっぱり温泉って凄いと思う。だってこんな幸せそうな2人の顔が見れたんだから。
何分か温泉に浸かったあと俺たちは露天風呂に移動した。中よりも少し温度が高いお湯は、外に出た時に少し寒い空気に当たって冷えてしまった身体を暖めてくれた。
岩に肘を乗せながらゆったりと温泉から上がる湯気や景色を堪能する。
「見晴らしもいいし、温泉も最高だし……はぁ、幸せ……一気に仕事の疲れが取れた気がするよ…」
「久しぶりの露天風呂最高だぞ…なおありがとう!お風呂上がったら肩揉んであげるぞ!」
「お前、馬鹿力だからちゃんと加減してやれよ?
……はぁ、やっぱり露天は最高だな」
「肩揉んでくれるの?ありがとう、最近肩凝ってたから嬉しい!ちゃんと力加減お願いします!」
「了解だぞ!」
(寝る前と明日早めに起きてまた温泉入ろう……)
寝る前?……………ぁ。久しぶりの温泉にワクワクして夢心地になってて忘れてたけど………。
今日この2人と……。
これを思い出してしまった俺は温泉から上がって着替えるまで2人と緊張で目が合わせられなくなったのは言うまでもないだろう。