第7章 旅行編
「よっ…酔った………ぐ…」
「ちょっと…これは……」
「なんだい!2人とも軟弱だなぁ!」
具合悪い………。おえっ
ここのジェットコースターは半端ない。
俺が今まで乗ったものとは比例出来ないほどのスピードと恐怖が俺を包み、怖さで目を瞑ってしまった為に普通よりも何割増の恐怖を俺は味わってしまった。
だから隣にいたアーサーの様子は分からなかったし、暗闇の暴風の中でアルの楽しそうな声だけはずっと聞こえていた。
「あ、そういえば…アル、はい」
「センキューなんだぞ!どれどれ…」
アルが欲しいというから渋々購入した、ジェットコースターで落下する時の写真。
酔って具合が悪い俺とアーサーの顔は絶対に変な顔しているに違いない。それが何だか気が引けて写真を確認しないままアルに渡した。
その反応を見て俺も写真を確認しよう。
「……………ぷっ……あっはははははは‼︎‼︎なんだいこの顔!なおも見てみなよっ、あはははッ」
「ちょっ……!そんな面白い顔してた⁉︎」
写真を見た瞬間大笑いをするアル。大ウケである。
アーサーもその笑い声に写真が気になったのか今まで下を向けていた顔を上げた。
未だに笑が治らないアルから写真を受け取り恐る恐るアーサーと同時に写真を覗いてみた。
「うっ…うわぁ………」
「……………。」
なんということでしょう。
楽しそうに手を上げて笑っている後ろの席にはこの世の終わりという顔をしたアーサーと目を全力で瞑っている俺が写っていた。
(恥ずかしい…それよりも何かこのアーサーの表情絶妙過ぎて少し、笑える……ごめんアーサー!)
「ふっ…ふふ…アルと俺たちの温度差が凄すぎてヤバいんだけど」
「だから俺は嫌だって言ったのによぉ…」
アーサーは自分の表情が悔しかったのかムッとしながら軽く息を吐いた。
写真を元々入ってあった封筒の中にしまいバックに入れた。うん、もう絶叫系はいいかな。ジェットコースターが怖すぎてもうお腹いっぱいだよ。
自分も酔っちゃって少し気分が悪いし、アーサーは俺よりも体調が優れなさそうだ。もう少し座ってゆっくりしてから後(絶叫系以外)何個か乗ろう。
「むー、そんな気持ち悪いのかい?2人とも
んじゃー、俺も座ってるぞ」
「ご、ごめんねアル…」
少し休むと俺もアーサーも気分が優れてきた。
あー、良かった…!