第7章 旅行編
「……………」
(もうどれくらいこの中にいるんだろう……
あぁ、外の空気が吸いたい。)
手を繋いで歩くのは良かったものの、それからが長い道のりの始まりだった。
何度も同じ所にたどり着いてしまったり、アルがお化けに驚き思いっきり転けてしまい俺とアーサーも(アルが手を離さなかった)巻き込まれて転んでしまったり、変なボタンを押してしまったり…まぁ、アルに一つ物申すならば…
(アルが手を強く握ってくるたびに俺の手が悲鳴をあげてるんだよぉおおおおおおおッッ‼︎可愛いけど‼︎可愛いけどさぁ‼︎…………痛い。)
今はお化けが驚かして来ず俺は少し余裕があり、俺は考え事をしてしまっていて、両手を引っ張られる力に身を任せていた、が。
「おいっ‼︎」
「大丈夫かい⁉︎」
下に障害物が有るのに気が付かず足に引っ掛けてしまった。転ぶ…!と思ったが2人が瞬時に俺の身体が傾くと同時に支えてくれたみたいで、俺は転ばずに済んだ。
「あ…、ごめん!ありがとう、2人とも」
俺がぼーっとしていたのがいけない。
今でも視界が暗くて余り見えないのにぼーっとして歩くなんて危ない事してはいけない。
「ちゃんと足元見ろよな!」
「ご、ごめん……」
「もー、もっと優しく言いなよ!」
俺が転けて2人の胸元にダイブした時に俺が使っている柔軟剤の匂いがしてなんとも言えない感情が湧き上がってくる。
こういう何気ない事が俺には一緒に過ごしているという実感があってとてつもなく嬉しく思ってしまう。
「多分、もう少しで出口につくんじゃねーか?」
「え?本当?」
「なんでそんな事分かるんだい?」
アーサーは少し周りを見て
「…いや、なんかそんな感じがするだけだ」
「何なんだいそれ!」
アーサーの言っていることは本当かは分からないけれど、もう少しで出れる!と思うと元気が湧き上がってきた。
「ほ、本当に出口だ…………。」
「な!だから言ったろ!」
ドヤ顔するアーサーを見ながらアーサーの予言(?)が本当に当たったことに呆然としてしまう。
出口から出ると長い時間暗い所に居たせいで空の青空がとても眩しかった。
「俺…………」
「ん?どうしたのアル」
外に出た瞬間アルはギュッと拳を握り目を瞑った。
「俺っギブアップしなかった!
ちゃんと出口から出たぞ‼︎」