第5章 俺の気持ちは
「……………うわッッ⁉︎」
引っ張られると思っていなかったのか、簡単にバランスを崩し俺の元に倒れてくるアーサー。
俺は痛くないように俺より身長の高いアーサーを全身で受け止める。
抱きつくような形になり、それに気づいたアーサーは離れようと俺の肩を掴むが、俺はそれをさせないためにアーサーの背中に手を回しガッチリとホールドする。
「なっななな何すんだ!ばかぁ!離せっ‼︎」
「やーだね、だってアーサー逃げようとするんだもん」
少し黙った後にチッと軽く舌打ちが聞こえた。
そしてアーサーから力が抜けるのを感じた。逃げるのを諦めてくれたみたいだ。良かった。
「……で?おっ、俺も…す、す好きってどういう事だよ」
(どもり過ぎでしょ、アーサー)
思わず笑ってしまう。アーサーって何時もは毅然とした感じで話すのに緊張したときとか恥ずかしいときとかすっごい言葉が途切れる。面白い。
だが、笑った声がアーサーに聞こえてしまったのか、背中をバシッと叩かれた。痛い。
「何笑ってんだよ」
「ちょっと、痛いよ!笑ったのはごめんって!
………で、さっきの続きなんだけどさ俺、アーサーもアルもどっちも同じくらい好きなの。
限られた時間なんだから別に好きな人が2人いたって良いよね。だって選べないし
ねぇ、アーサーは俺のこと好き?嫌い?」
品川にはキスされたって事は好きって事でしょ。と言われたけれども、確信がないし俺としては自信がないからちゃんとアーサーの口から聞きたい。
肩に置かれていたアーサーの手に力が篭る。
「べ、別に嫌いじゃねーよ…!」
「んじゃあ、俺のこと好き?」
「………っ、す、好き、だ…っ」
「ふふっ、俺も好きだよ、アーサー」
ぎゅっとさっきより強く抱きしめ密着度を上げると、アーサーも戸惑いながらも背中に手を回してくれたのだった。
この瞬間俺はこのイケメン外国人2人の彼氏となった。
(なっ、なんか、凄い変な気持ち…俺本当に2人の恋人になったんだなぁ………)
思い出す、ショッピングモールで2人が逆ナンされていた時、それから逃げるために何故か彼氏役をした事。
他に今思えばもっと他の方法があっただろうにと思う。
その時はまだ、2人が本当の恋人になるなんて思っても見なかったなとアーサーを抱きしめながらつくづく思った。