第5章 俺の気持ちは
アルに気持ちを伝えキスをして少し経った後、リビングに戻り2人でテレビを見ているところにお風呂から上がったアーサーがタオルで頭を拭きながらリビング現れて、交換というようにアルがお風呂に向かう。
そして俺はアーサーと2人きりになったと思うと軽く深呼吸して気持ちの準備をする。
タオルで頭を拭いていたから珍しく洗面所で髪を乾かしていないみたいだ。
「アーサー、髪乾かして来なかったの?」
「………あぁ」
…?異様にアーサーの声のトーンが低い。
そして表情もなんか暗い。どうしたのだろう。
頭を吹いていたタオルを首に掛けてからアーサーは俺の近い位置に座った。
アーサーは座ってから1分位何も喋らなかった。俺も余り話しかけられないオーラを放っているアーサーには喋り掛けられず、2人で黙っていた。
どうしようかと思っていた時、アーサーが口を開いた。
「さっき、風呂あがってリビングに戻ったらキッチンでキスしてたよな……お前から。
アルの事好きなんだな、直人」
「あ……アーサー、見てたの?」
見られていたのか、アーサーに。
それも誤解しているようだ。いや、別にアルの事が好きなのは当たっているけれど、アーサーの事も勿論好きだ。タイミング悪く俺がアルにキスをした所に出くわしてしまったんだろう。
「でもね、アーサー」
「アルもよかったな、ずっとあいつ好きだ好きだ言ってたし」
俺の言葉を聞きたくないように話すアーサー。
”よかったな”なんて言っているけれどアーサーの表情は全く言っている事とは矛盾していた。
「俺……もう寝る」
「え⁉︎待ってアーサー!俺の話を聞いて!」
寝ると言いすくっと立ち上がるアーサーに俺は焦ったように反射的にアーサーの腕を掴む。
アーサーは離せと言うように掴んでいる俺の手を離そうとするが、今離させるわけにはいかない。
アーサーに話す事があるのだから。
「………なんだよ、俺、ねみぃんだけど」
「アルの事は好きだよ。けど、アーサーは勘違いしてる。
実は…アーサーの事も好きなんだ!」
「…………………は?」
離そうとしていた手の動きが止まる。
アーサーは思考停止したというように目をまん丸にしたまんま動かなくなってしまった。
アーサーの事だしこの事実をすぐ信じてくれるかくれるかわからないから、俺は力の限りアーサーの腕を引っ張る。