第4章 2人の気持ち
お風呂から上がりバスタオルで髪を拭きながらリビングに行くと携帯を弄っている2人の姿が見える。
「携帯見てどうしたの?もしかして電波が繋がったとか」
「いやいや!見ての通り圏外さ!あのね、ちょっとポーズとってくれるかい?」
「えっえ、何で?」
「いーから、いーから!ほら!」
ずいっと見せられた携帯にまず目に飛び込んできたのは大きな大きなハンバーガーとシェイクの写真the.アメリカンって感じだ。
そして電波の状況を見てみると電波は立っておらず圏外だった。
すると、いきなりポーズをとってくれとアルが言う。2人が俺に注目しているなか1人でポーズを取る、というのは何だか恥ずかしい。戸惑っているとアルが早く、と急かしてくるので仕方なくピースをした。
パシャ、とアルが手にしている携帯から効果音がした。
「アル、何で写真………あ」
(写真…携帯…もしかして)
「思い出作りだよ、なお。俺の携帯だったら戻ってもデータが残るかなってさ」
「写真か、いいね、俺も2人を撮りたいな!あ、そういえば俺デジカメ持ってる!ちょっと待ってね」
早足で移動して入っているはずの戸棚を開けると予想どうりデジカメが入っていた。
俺はそれを取り出し電源を入れる。
「アーサー!アル!ポーズ取ってね!はい、チーズ」
ボタンを押すと2人の姿がデジカメの画面に映る。
アルは慣れているのかしっかりポーズをとっているがアーサーは戸惑ってわたわたしている様子が映っていた。
「ふふ…アーサー、変な顔してる」
「ちょ、おまっ…今の消せ!ずりぃぞ、いきなりすぎだろ!」
顔を赤くさせ怒った顔で近寄って手を伸ばしてくるアーサーの顔をまた撮影した。
また撮られた事に気付いたのか、本気でデジカメを奪おうとしてくる。
「あははっ、ちょっと、アルー、アーサーの事止めてよ」
「アーサー、別に良いじゃないか!諦めなよ!」
「………………チッ」
アルの言葉に諦めてくれたのか舌打ちをしながら伸ばしていた手を下ろした。
「アーサー本当に嫌だったら消すよー?」
「……………べ…い……」
「え?何て言ったの?」
「別に良いって言ったんだよ!と、特別だからな!」
「君は本当に素直じゃないね!」
ギャアギャアと騒ぐ2人をくすっと笑いながらこれからいっぱい思い出を作らなきゃなと、思った俺だった。