第4章 2人の気持ち
イギリス視線
直人がリビングから出るのを見送ったあと俺は言われた通りに寝室に向かった。
寝室に入ると明かりがついていて、窓を開けて自分の布団に座り月を眺めているアルの姿が目に入った。
1番気になる臭いを嗅いでみるとちゃんと臭いは換気をしているおかげで消えたみたいだ。
「…生臭せぇ臭いは消えたみたいだな。」
「…!アーサー、居たのかい、気付かなかったぞ」
「布団敷きに来たんだよ、つーか、お前寝室にいんなら俺たちの布団敷いとけよ」
よほどぼんやりとしていたのか俺の存在に気付かなかったみたいだ。アルの布団だけが敷いてあるのを見て愚痴りながら俺のと直人の布団を取り出し、敷いていく。
「ごめんごめん、ちょっと…考え事してたんだぞ」
「お前が何かを考え込んでるって珍しいな。直人の事か?」
「…君エスパーかい?」
くるっと回転して俺の方に身体を向けてきた。その表情はパッとしないような少しむっとしているようなよく分からないが、上機嫌ではないとは分かる。
「お前、直人の事好きだろ?」
布団をしく動きは止めずに、だけど目はちゃんとアルと合うようにして率直に聞く。遠回しに聞いたところでこいつは意味を理解しない。
「……⁉︎えっ、な、何で……っ、そう、思うんだい」
「お前、分かりやす過ぎなんだよ」
目を見開き心底驚いた表情になっているし、声がきょどり過ぎている。こんな分かりやすいのに、なのにあいつはキスをされてもよく分かっていないみたいだった。
(こりゃ、筋金入りの鈍感だな……これから大変そうだ)
ため息をつくと、アルが泣きそうで不安そうな顔でこちらを見ていた。
「分かりやすいかい?俺……。俺だって何で直人の事がこんなに好きか分からないんだぞ…まだ3日しか、いや俺にとってはとっても深い3日だったけど。
俺、俺たちはいつ、元の世界に戻るか分からないんだぞ。だから…なおと出来る限り…一緒に居たい、触れ合いたい…まぁ、俺たちは男同士だし、なおはとっても優しいから今日の我が儘も受け入れてくれたんだろうけどさ」
苦しそうに無理やり笑おうとしている顔に俺まで胸が苦しくなる。
こんなアルを見たら…アルに言えるわけねぇよ。
俺も…
直人が好きだって事が。