第3章 この2人はスゴイ可愛い
アルのような触れるだけのキスとは比べられないレベルのキスを俺は今されている。そして俺はそのキスに翻弄され抵抗も出来ないままされるがままになっていた。
こんなキス、今までした事ない。俺だってこんなテクニックがある訳もない。というか……。
(アーサーキス上手すぎでしょ‼︎なんでそのテクニックを俺に披露してくるのか分からないよ!、俺上手いだろ?ドヤァ…的な感じなの⁉︎そんな訳ないか‼︎あぁああ、頭の中がごちゃごちゃになってきた……それよりも、アルがお風呂あがっちゃうよ…!)
アルがこの光景を目撃しないようにと驚きで息をするのを忘れていた俺は息がそろそろ限界だった為、もうやめてくれと言う意思を込め、アーサーの肩をトントンと叩いた。
すると苦しいと分かってくれたのか、キスをやめてくれた。口と口がゆっくりと離れるとアーサーから覗く舌と俺の舌が透明な糸で繋がっているのが見えた。
「〜〜〜〜っ、アーサー‼︎」
ぐっと袖を口元に持ってきて少し口から少し垂れていた涎を拭う。
それを楽しそうに眺めながらとすんと床に座り、くくっと笑う。俺の反応が面白いみたいだ。
「俺のキスどうだ?」
「え……?う、上手かったけど……」
「ちげぇよ、ばか。気持ち悪かったかどうか聞いてんだ」
「……いや、というか上手すぎて特にそう言った感情は浮かぶ暇さえなかったかな…はは」
(………そうだ。何で俺、2人からのキスに普通に受け入れてるんだろう。普通は……普通って何だっけ?)
色々衝撃的な事が起こりすぎて哲学まがいの事まで考えるようになってきてしまった。
「ま、まぁな!俺がキスうめぇのは当たり前だろ!キスが上手い国ランキング1位なんだからなっ!
それよりも、そ、そうか、俺とのキス…気色悪くなかったか……」
「へぇ…そっか、国民がキスが上手いと擬人化した国も上手くなるんだ…それか、ただアーサーが手馴れてるか…多分両方正解だよね。うん。」
(………男とのキスが気持ち悪くないって…俺、おかしいのかな…それかアルとアーサーだからなのかな…わからないや。)
「どういう意味だよ、ばかぁ‼︎」
俺たちがいや、アーサーが一方的に騒いでいると
廊下の方から足音が聞こえてきた。
「お風呂あがったぞー!次は誰が入るんだい?」
「直人が先に入るか?」
「いや、先にアーサー入ってきていいよ」