第3章 この2人はスゴイ可愛い
「お前、結構鈍感なんだな」
「鈍感?えぇ、じゃあ、アーサーは分かるの?」
「まぁ、あいつの表情とか見てたらな」
分かるんならいっそのこと教えて欲しいと思ったが、素直に聞いてアーサーが喋ってくれるとは思えない。それに明日同僚に相談すれば何か分かるかもしれないため、その答えは聞かないことにした。
少しして俺たちの会話が途切れ、沈黙を遮るように音が流れるテレビを俺は眺めていた。
「なぁ……直人」
「んー?」
テレビに視線を向けていた俺は視線をアーサーに移す。
「アルは今風呂か?」
「あ、うん、そういえばアーサーにも言っといてって言われてたんだっけ」
ふーん、と何やら考えるような仕草をしたかと思うと、テーブルに寄りかかるようにしていた身体をこっちに向けた。
「んじゃー、率直に聞くけどよ、直人、アルの事イかせたか?いや、結構あいつのデカいエロい声が聞こえてきたから確かだとは思うんだが。」
…⁉︎声がこっちまで聞こえてきたんだ…アル、結構喘ぎ声大きかったしなぁ…。
なんかとても恥ずかしかったけれど、本当の為コクコクと頷いた。
「へぇ…?お前、ノーマルじゃ無かったのか?」
「えぇ⁉︎いやいや!俺はノーマルだよ!あれは…その、しょうがなかったというか…可哀想だったと言うか…、ほ、ほんとに、俺そっちの人とかじゃないから!」
目を細め口角を上げながらジト…と俺を見てくるアーサーに手をブンブン振りながら否定する。
「ふぅん?じゃあ、アルをイかせてどうだった。」
「ど、どうって…うーん、可愛かった…かな…?」
それを聞いた瞬間アーサーの表情が不機嫌に変わった。
何か悪い事を言ってしまっただろうか、ボソッと何かをつぶやいたかと思うとスッと立ち上がり俺の座っている方に向かって歩いて来てそして目の前にしゃがんだ。
「なぁ、俺も構えよ」
「え、な、ちょ、アーサー…顔近っ、んんーー⁉︎」
アーサーの顔が近付いて来て避けようと首を横に向けたが後頭部を手でガッチリと固定されて動けない。
(何でアーサーにもキスされてるの⁉︎ほほほほ本当に今日の2人どうしちゃったんだよ…!)
「アーサー、やめっ、ふっ、ん」
突然の事に少し口が開いていたのかアーサーと舌がその隙間に進入し、俺の逃げる舌を捕まえるように捉え絡ませてくる。俺の頭の中は真っ白だった。