第3章 この2人はスゴイ可愛い
「んー……
一応日本、イギリス、アメリカの歴史を調べて見たけどよ、俺たちが存在しねぇってだけで歴史は全く同じだな。」
「もしかしてただなおが俺たちの存在を知らないだけでここは元の世界…とか?」
「そんなわけねぇだろ、んじゃ何で俺たちの携帯は電波が繋がんねぇんだ?
それにもしここの世界が俺たちが元いた世界だったとしたら俺たちはとっくに見つかってる。
一応俺たちは”国家機密”なんだからな」
(…そうだ。ここが元いる世界だったとしたら俺たちはとっくに見つかってるだろう。
携帯は全く役に立たず、ボスからも部下からもメールや電話は一通も届いていない。)
ペラペラと世界の歴史が書かれている本のページをめくりながら考える。
「どうやったら俺たちは帰れるんだろうな。
直人もそれを望んでいると思うし」
「んーほら良くある、一定の時間が過ぎたら俺たちは身体が透けて消えて元の世界に戻れるとかじゃないのかい?」
アルは漫画で読んだのか冗談を含んだ声で言う。
「漫画の読み過ぎ…と、言いてぇとこだがそーいうのもあるかも知れねぇな。」
「わぉ、絶対馬鹿にされると思ってたぞ」
馬鹿にされると思っていた事をアーサーは真剣な顔でそれもあるかもしれない。と言う。
確かに突然異世界に飛ばされたと言うのなら唐突に消える、と言う事は可能性はゼロではないだろう。
「もう、アーサーも薄々分かってると思うけど俺たちが自分の世界に帰るには、本当に二次元みたいだけど、俺たちがこの世界から消えるのを待つしかないんじゃないのかい?」
「………そうだな。
突然ここに飛ばされたって事は誰がそんな事をしたのかも帰る道もわからないって事だからな」
アーサーは諦めたような表情をしながら今まで読んでいた歴史が書かれている本を閉じた。
「んじゃ、帰れるまでなおにはお世話になるんだぞ。
俺なおの事気に入っちゃったから本当はまだ帰りたくなかったんだ!」
「はぁ……お前ってほんと楽観的だよな……
元の世界の時間が止まっている事を祈るのみだ」
今何時かと思い時計を見てみるともう6時を過ぎている。図書館ももう閉店の時間だ。
そろそろ帰らないと行けないと家を目指し足を動かした。