第9章 chapter9 本性
【母親視点】
息子を精神科に預けているけれど
大丈夫かな…?
治るかしら…
とても心配…
ここ、一年間私が仕事ばっかでどこも連れて行ってやれなかったから…
でも、そんなの後悔してもだめ
今、出来る事をやらなくっちゃ
まずは、思い出して貰った方がいいのかな?
でも、どうやって証明する?
自己紹介?
でも、息子に自己紹介は無いかも…
「本当に先生に任せて、治るのだろうか…」
旦那が心配しそうに言った
「きっと、大丈夫よ…それにしても…何でうちの息子がこんな風になったのかしら…」
「さあ……」
二人で悩んで居るとドアがばっと開いた音がした
とっさに私達は見たわ
そこには、ペンダントを握り締めた息子の姿があった
「珱祐…?」
『父さん、母さん…ただいま!』
その瞬間、私と旦那からは涙が出た
さっきまで冷たい目をしていた息子が
今になっては、穏やかな目に戻っている
『心配かけて…ごめん』
「良いのよ、珱祐が無事なら(泣)」
『母さん…』
「良かった…今まで構ってやれなくてごめんな…」
『父さん…』
その後ろから、精神科の先生と救命の先生が来た
「先生、ありがとうございました…」
「いや、これも珱祐君の生きたいと言う希望が強かっただけですよ!」
「私も珱祐君にヒントをあげただけなので
最終的には珱祐君自身が思いだしたのです!」
「本当に良かったわ……さて、珱祐…明日は家族揃って遊園地に行きましょう!」
『うん!』
「先生、ありがとうございました」
「いえいえ!此方こそ!」
そう言って私達は病院から出た