第3章 03.きらいの黄
小春side
あーーびっくりした。
肩痛いし・・・
男ってなんでこー、力加減できないのかなぁ。
「小春ちゃん!どうしたの?こわーい顔してるよ?」
「あ、ごめんさつき。」
さつきが心配そうにのぞき込んできたが、その仕草が可愛くて、ちょっと落ち着いた。
「もしかして黄瀬くん?」
「そっ。あいつなんなの。ちょっとかっこいいからって、すぐ人を見下して、かと思いきやコロッと態度変わるんだもん。
・・・それに」
「それに?」
さつきがなんだかニヤニヤしているが、気にしない。
「なんであんなにすぐバスケが出来ちゃうの。むかつく。」
バンッと手に持っていたクリップボードをベンチにたたきつける。
「赤橋うるせぇ!!」
「すみませんっ!!」
思ったよりもクリップボードの音が体育館に響き、選手たちの練習の妨げになってしまった。
虹村先輩にも怒られ、今日は踏んだり蹴ったりかも。
練習はすぐに再開され、ほっと一息つくと、黄瀬と目が合った。
すると、パァァっと黄瀬の顔が輝き、ぶんぶんと手を振ってくる。
「・・・」
冷めた目線を送っていると、黄瀬が虹村先輩に殴られた。
ざまぁ。
自分も切り替えようと、クリップボードを手に取ると、さつきが相変わらずニヤニヤと私を見ていることに気付く。
「な、なに?」
「小春ちゃんさ~、気づいてないのかもしれないけど、
顔まっかだよ。」
ふふふ、と楽しそうに笑いながら、さつきはどこかに行ってしまった。
・・・はっ?
急いで鏡を取り出して自分の顔を見ると、頬を中心にまっかだった。
「なにこれ。」
恥ずかしさのあまり赤くなった顔を抑えて、しゃがみ込むと
ぐるぐると目が回り、頭がくらくらしてきた。
これはやばい、と思い体育館をあとにしようとしたが、それが間違いであったと気づくのはそう遅くなかった。