第1章 中二病ですが、何か?
あたし、皐月カレン。突然目の前が暗くなった。これは、アレを言うときだ。
「くっ……眼前暗黒感がっ…………」
するとあたしの友だちの夕菜が口を挟んできた。聞いてたな、このやろう。
「黙れ中二病。めまいと言うんだな。お前、中二病ナオールでも飲んどけ、ほら」
「やめろこれただのラムネだ」
『中二病ナオール』と書かれたラムネ菓子の箱を見てため息をつきながらそう言う。こんなんで治ったら世界に中二病者はいないぞ。
「俺中二病になった!」
隣のクラスの山梨泰正が廊下で言いふらしていた。黙れ、このにわか。中二病のことを知らないくせに中二病を語るんじゃない。中二病を敵に回すぞ。
あとな、オタクや中二病バカにするやつは大体ワンピース好きか人のこと下に見てる奴らばっかだぞ。あたしは知ってんだぞ。あ、知ったかじゃないです。
「おい、泰正。皐月が見てんぞ」
「うっわやっべ。あいつにばれたら絶対ギャーギャー言われる」
もうばれてるぞ、愚かな人間め。邪眼の力をなめるなよ。