第1章 君との出会い
「ねえねえ、浅野ちゃんって呼んでもいい? あたしのことは紗有って呼んでくればいいから」
紗有ちゃんがそう言った。
「え、浅野、ちゃん……?」
浅野ちゃんと呼ばれたことはない。だから、つい驚いてそうつぶやいた。
「あー嫌だった?」
紗有ちゃんがそう言ったから、私は急いで首を横にぶんぶん振る。すると紗有ちゃんはくすくす笑い始めた。
「あはははっ、浅野ちゃんそういうタイプ? ウケる!」
そんなことを言われて赤面していると、横からイケボが聞こえてきた。
「おい田端、浅野さんいじめんなよ」
葉山君だ。わ、守られた。なんてイケメンなんだ。
「はあぁ!? 葉山は黙っててよ!」
紗有ちゃんがキレる。二人は仲いいのかな? ケンカするほど仲がいいって感じがする。
「うるせえな。浅野さん、こいつ無視していいから」
「黙れ葉山!」
私が入る余地などなく、ただその様子を見ていた。