第7章 女を輝かせるのは【下呂】
その女生徒はコンビニの蔭で1人泣いていた。
「こんなとこで泣いて、どうしたんです?」
「…!あなたは…」
目を赤く泣き腫らし、それでもなお大きな瞳から大粒の涙をこぼす彼女ははたから見ると随分とみっともなく映るだろう。
「っ…」
しかし、その姿が下呂にはなぜか美しく見えた。
「そこで泣いてたって仕方ないでしょう、ほら」
普段なら放っとくだろうに、なぜか放っておけなくて。
「話くらいなら聞いてあげます」
強引に引っ張って起き上がらせた彼女は、目をぱちくりとさせていて、余程下呂の態度に驚いたのか涙は止まっていた。
「この間美味しいお菓子が手に入ったんですよ。良かったら一緒にどうですか?」
下呂がほんの少し笑みを浮かべると、女生徒もつられたように微笑む。
その笑みは、陽だまりのように温かいものだった。