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短編集【美男高校地球防衛部LOVE!】

第4章 私を見て【蔵王】



「な、なんで…あなた私のこと嫌いじゃ」
「は?!いやないないない、誰から聞いたのそんなの!」

ぶんぶんと首を左右に振る蔵王さん。
その目に全く嘘はない。

「だって私にナンパしてくれなかったじゃないですか…!」
「……は?」
「1度だって誘ってくれなくて、私蔵王さんに嫌われてるのかと思ってて…待ってたのに…!」

私の言葉に彼は驚いたように口を開けている。
でもすぐにその顔には優しい笑みが広がって、私の頭を撫でてくれた。

「悪りぃ、なんか不安にさせちまったみたいだな」
「……」
「話しかけなかったんじゃなくて、話しかけられなかったんだ」
「え…?」

私をあやすように撫でる手を止めずに、どこか遠くを見ながら蔵王さんは言葉を続ける。

「あの時、不良から助けた君に一目惚れしてさ…そんな人間に軽々しく話しかけられねぇだろ」
「…それって、」
「だからずっと待ってたんだ、告白するチャンス」

それが今。
そう言って悪戯っぽく笑う彼に胸が高鳴る。
話してる間に頭も冷静になってきており、話を理解するのもたやすくなっていた。

つまり、

「私の、勘違い…」
「に、なるな」

友人の忠告を聞いておけば良かった。
さっさと確かめてればこんなことにはならなかったのに。

「蔵王さん、わたしも…んっ?!」
「立。立って呼んで、」

指で口をおさえられる。
恥ずかしさで顔が赤くなったのだろう、私を見ると蔵王さんはりんごみてぇと笑って頬に唇を寄せる。

直後に感じる柔らかな、温かい感触。

「ざ、立…さん?」
「へへっ、これからよろしくって挨拶な」
「でも私まだ返事」
「さっきの言葉でわかっちゃった」

俺のこと、好きでしょ?

あの時と同じウインクと共に聞かれたら、頷く他に道がない。
小さく頷くと、彼は嬉しそうに私の手を握った。

「誤解させてごめん。その代わり、これから目一杯甘えさせてやるからなっ」

私が女たらしのテクニックにやられて、ますます彼の虜になるのはまた別のお話。
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