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短編集【美男高校地球防衛部LOVE!】

第4章 私を見て【蔵王】


「よぉ、そこの彼女可愛いね!俺とお茶しない?」
「え〜どうしようかな〜」

ピンクの髪が特徴的な彼は今日も女子に声をかける。
年上、年下、同級生誰にでも。

自他共に認めるプレイボーイ。
彼は全ての女性を愛していると豪語するほどの人なのだ。

「私もこの間ナンパされた!」
「私も私も!話してみると楽しいのよね!」
「うんうん、LINE教えてもらっちゃった!」

蔵王立。
人懐こくて、話しやすい彼はプレイボーイといえども人気がある。
むしろその軽さが人気の1つと言えるかもしれない。

私の通う女子校でも彼の話題にならない日はない。
昨日は誰がナンパされたとか、いつの合コンにやってくるとか。

「ねぇ、はどう?」
「ど、どうって何が?」
「蔵王くんのこと!彼、好み?」

こう聞かれるのもよくあることだ。
その度に私はこう返す。

「向こうが私はタイプじゃないと思ってるみたいだから、考えたこともないかな」

今日も友人と立ち寄ったカフェの外で蔵王さんはナンパに勤しんでいる。
その姿を見ていると、自然と溜息が漏れた。

「はぁ……」
「溜息つくくらいなら声かければいいのに」
「無理」
「全く…」

友人の辛辣な一言が心に刺さる。
大事なところで1歩踏み出せないのは悪い癖だとわかってはいるけど、どうしても勇気が出ない。

だって。

「嫌われてるってわかってる相手に話しかけられないよ…」
「それただのあんたの予想でしょ?違うかもしれないじゃん」
「違うわけないよ!」

突然大声を上げたことで驚いた友人は、飲もうとしていたカップを置く。
自分で嫌われてると断言したことで実感が増し、目尻に熱いものがこみ上げかけた。

「…だって、私だけまだナンパされたことないんだもん!」

そう、私だけがまだ1度も蔵王さんにナンパされたことがない。

すれ違ったことはある。
落としたハンカチを拾ってもらったこともある。

でもナンパはされたことがないのだ。
自他共に認める女たらしがそれをしない理由は1つ。

私が好みじゃない、または嫌いだから。
それしか考えられない。

「…ちなみにどの辺が嫌われてると思うの?」
「固いとこ、とか」
「あんたそんなにお固くないと思うけどなぁ」

風紀委員の私は必然的に服装の乱れ等が厳しくなる。
そこが面白くないと思われてるというのが私の考えだった。
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