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短編集【黒子のバスケ】

第21章 私とあなたの生まれた日【赤司】



額に、頬に、耳に。
至る所に彼の唇が触れる。


「征十郎…、」

「っ…可愛いよ、理央奈」


最後に、口に軽くキスをされリップ音と共に彼が離れた。
どことなくお預けを食らったみたいで軽く睨むと、征十郎は困ったように眉を寄せる。


「続きは夜に、な」

「……うん」


それでもこんな言葉1つであっさり引き下がってしまう私はよほど彼という鎖に縛られてしまったのだろう。


「あらあら、熱いわね」

「っ?!?!」

「すみません、こんなところで」


そんな甘酸っぱい桃色の空気は第3者の発言で霧散する。

そういえば母がまだこの部屋にいたのだ。
その母の前でこんなにも色んなことをしてしまい、恥ずかしさに顔が真っ赤になるのが自分でも分かる。


「お、お母さん!あの、」

「じゃあ私はもう行くわね。理央奈、転んでドレス汚さないようにね」

「……私は子供かっ」


出て行った母の背中を見送ると、横で彼がおかしそうに喉を鳴らしていた。

「何がおかしいの?」

「だって理央奈、さっき転びかけてたじゃないか。君の母親が心配するのも無理はないさ」

「…」

反論できなかった。
派手に転びそうになったのは事実なのだから。


「その危なっかしさは一生変わらないかな」

「でも、それを征十郎がフォローしてくれるでしょう?一生」

「……あぁ」


彼の腕に自分のを絡め、控え室から会場へ向かう。
その途中、大切なことを言うのを忘れていたのを思い出して足を止めた。


「あ、そうだ。征十郎」

「?」

「誕生日、おめでとう。プレゼントは私ってことでよろしくね?旦那様」

「あぁ、一生大切にするよ…愛してる」



もう1度触れるだけのキスを交わす。


私達の愛と幸せに満ち溢れた生活は、もう目の前だ。
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