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短編集【黒子のバスケ】

第21章 私とあなたの生まれた日【赤司】



12月20日。
それは、たくさんの意味を持つ日。


そしてその日に、もう1つ意味が加えられる。





「綺麗よ、理央奈」

「ありがとう、お母さん」


純白なドレスに、透き通ったヴェール。
隣に立つ母は少し涙ぐんでいる。

今日は私と征十郎の20歳の誕生日。

そして、二人の関係が変わる日。



「同じ日に生まれた2人が結ばれるなんて…思わなかったわ」

「私もだよ、まさか征十郎のお嫁さんになるなんてね」


思い返せばここまで、長いようで短かった。

同じ日に、同じ病院で生まれた私と征十郎。
母親同士がそこで仲良くなり、物心ついた時には隣に彼がいた。

彼の母が亡くなったり、彼が1度彼でなくなったり、それはもうたくさんのことがあったけれど、それら全てを経て今日を迎えた。


「理央奈、時間だよ」

「征十郎」


そして今では、私の目の前で微笑んで手を差し伸べてくれるこの人が、たまらなく愛おしくなった。

さらさらの赤い髪も、時に鋭いその瞳も、私を翻弄する口も指も何もかもを愛している。


私と同じく真っ白な衣装に身を包む彼は物語に出てくる王子のよう。

それをそのまま伝えると、ならば君は姫だと征十郎は答えた。


「私みたいな姫いないよ」

「確かに君はお転婆で時に思慮に欠ける。物語の姫のようではないな……でも」

握った手に征十郎が口付ける。
恥ずかしさに手を引こうとすると、逆に手を引かれて彼の腕の中に収まった。




「俺を救ってくれた、ただ1人の女だ…俺の姫は君だよ」
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